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ベルリオーズ

2024年05月21日 18:43

今日から愛知室内さんの
ベルリオーズに乗らせてもらっています。
今回は元ウィーンフィルのバスーン奏者で
フランス生まれの32歳(若い!)ソフィ·デルヴォーさんが指揮します。

「これは器楽によるドラマである」
とベルリオーズ(1803-1869)が語っている幻想交響曲は実際の自分の恋い焦がれた女優への重〜い想いを表した曲となっています。
『失恋した若い芸術家(ベルリオーズ自身)が
阿片で服毒自殺をはかったが致死量に至らず死にきれなかった。その昏睡状態に陥った夢の中での出来事である』と、ベルリオーズは書いています。

まず一楽章は彼女と出会う前の夢のような世界を描き、出会いを彼女の決まった旋律で描いた。
この彼女のテーマは様々な楽器で使用され
他の楽章でも多用されている。
更にこの恋人のテーマの時に自分のドキドキする恋心を心臓の音として、リズムとして巧みに入れ込みながら曲を展開させていっている。

第二楽章は舞踏会となっていてここで
ベルリオーズはその当時珍しかったハープで、
しかも2台以上取り入れるように
指示している。

第三楽章でも自身をコールアングレに(オーボエより低い音のでる楽器)、彼女をオーボエとして
二人っきりでの会話をしているように描いている。また4つの音程の異なる大きさのティンパニーを使い、和音を奏でベルリオーズの悩みや感情の揺れ、また雷としても表現されている。
このようにベルリオーズが近代楽の父と
呼ばれたのは新しい楽器を大胆に
取り入れたこと、また彼女のテーマを
音として決めた固定楽想にあった。

第四楽章 自分の愛が報われないと悟ったベルリオーズは阿片で服毒自殺を計る。
麻薬が致死量に足りなかったために
彼は眠りの中で恐ろしい光景を見る。
愛する彼女を殺し、有罪判決を受け処刑場に連れて行かれ「自分自身の処刑」に立ち会う。
最後の音はギロチンで首を落とされるシーンで
分かると恐ろしい。

第五楽章の結末
ベルリオーズは魔女の夜の宴に参加している。
様々な魑魅魍魎に囲まれた自分の姿を見る。
ポルタメントや
コル・レーニョ奏法で骸骨が踊る姿やうめき声など表し、
彼女のテーマが再び現れるが、高貴で控えめな性格は失われ、装飾を
つけたりトリルをつけたりの
グロテスクに変身した彼女の姿となっていふ。

ベルリオーズの素晴らしいところは
このどうすることもできない苦痛に満ちた人生を、最後に光があるよう明るく終わっているところであろう。救いがあるのは奏者にとっても
希望が見出され、それ故名曲として
残っているのだと思う。

この曲で有名になったベルリオーズは
その2年後にこの曲の主人公となった
彼女に猛アタックし、なんと2人は結ばれている。

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